スタッフの読書メモ「ソビエト旅行記」

こんにちは。
株式会社エス・スリーのスタッフです。

今日は、祝日バージョンということでスタッフの日記になります。
最近読んだ本についてです。
「ソビエト旅行記」アンドレ・ジッド

作者のジッドはフランスの作家です。
多分一番有名なのは「狭き門」という小説だと思います。
ソビエト旅行記」はその名の通り、ソビエトを訪れた旅行記+その後の考えや資料です。

1936年、ジッドは仲間の作家と共に「ソビエト連邦」に視察に訪れます。
「共産主義」は当時先進的だと考えられていて、フランスなど西欧でも支持・期待する人が多かったようです。
もともと階級社会の西欧では、労働者の権利を広げ、階級をなくして平等を実現するというのは新しく魅力的だったということらしいですね。

この「ソビエト旅行記」の面白いところは、
ジッドがソビエトを訪れたときの演説ではソビエトを礼賛し新しい文化が生まれることを期待した内容を述べていますが、
ソビエトを見て回るにつれてその見方は変わり、共産主義(というかソビエトの進む道)への懸念が高まっていくのがリアルに書かれているところです。

印象に残る描写はいくつもありますが、
・若者は明るく魅力的だが、ソビエト外についての興味が薄い。ソビエトが一番だと教育されているため、「ほかの国にはこんな素晴らしいものは無いでしょう」と言ってくる。(ジッドの記述からはフランスの方がはるかに優れていると読み取れます)
・コルホーズ(集団農場)は素晴らしい設備だが、そこで働ける労働者は一部。
階級が無くなったはずが、貧しい労働者がいまだ存在していて、収穫が多いコルホーズで働けるような稼げる労働者が新たな上層階級になっただけである。
・芸術がある「基準」内にあるものしか評価されない。体制の考え方から外れるものはアウト。

他にもいろいろあるのですが、
実際に見て回ってきた人ならではの文章で書かれています。

この本を読んでみたきっかけは、
最近ロシアのニュースが多いのですが、スタッフの私自身はロシアのことを全然知らないことに気づいたことです。
アマゾンで物色してみると、ロシア関係の本はベストセラーになっているものが多く、
みんな考えていることは同じなのかも?と少し面白く思いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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